"扉" の世界

1994年から扉シリーズをテーマにして、制作に取り組んでいます。私が「扉」に惹かれたのは、閉まっているときはそこに入ろうとする者をいっさい寄せ付けず、 すべてを遮断しようとする「壁」に似た存在。そして開いた状態では、すべてを受け入れるいわば通路を感じさせる存在。 この相反する二つの要素が扉に存在するように思われたからです。 いわば中の見えない神秘に満ちた密室と開け放れた部屋が扉の力でいっきに切り替わってしまう扉の神秘的な魅力を感じたからです。

もう一つ、扉の前に立つ、生々しい眼球を持った、異様に痩せた男、そして空虚な仮面は、実態の見えない虚の世界、 何が真実かわからない混沌とした今の社会の象徴のつもりなのです。

「扉」シリーズの制作はもう13年にもなります。このように長くこのテーマに取り組むつもりはなかったのですが、 つくればつくるほどいろいろなイメージが広がり、意外と奥の深いテーマだということがわかってきました。 扉のある棲まい家やをつくることにもこの2,3年挑戦しました。"扉"と"面"そして"痩男"はわたしにとってはなくてはならないテーマになりつつあります。 この三つのテーマの絡み合いによってまだまだ様々なイメージが湧いてきます。今後もしばらくはこのイメージを暖めていきたいと思っています。


略歴

1956年
愛知県豊川市生まれ
1979年
三重県松阪彫刻シンポジウムに参加
1980年
自由美術展に出品 佳作作家賞 受賞('80〜'82)
1981年
彫刻七人展出品  日本画廊(東京)  個展 はくぜんサウスギャラリー(名古屋)
1982年
愛知教育大学  大学院  修士課程修了
1983年
自由美術協会  会員に推挙
1987年
愛知県豊川市南部中学校にブロンズ像「望」設置
1991年
豊川市制50周年記念事業「彫刻の道」の一環として「歩く虫」(ブロンズ)を設置 (豊川市総合体育前)
1995年
自由美術賞受賞
1996年
第11回 国民文化祭 とやま'96に出品
国民文化祭実行委員会会長賞 受賞 (作品は現在 松村外次郎記念町立庄川美術館所蔵)
2001年
第5回 エイズチャリティ美術展に出品 精鋭作家賞 受賞
Heart Art in ROTTERDAM 〜日蘭芸術交流展〜 会場:聖ラウレンス教会 in ロッテルダム
(Heart Art Communication 主催) に出品 聖ラウレンス教会賞 受賞
在ロッテルダム大阪府事務局局長賞/(社)大阪国際ビジネス振興協会賞 受賞
ロッテルダム・ジャパンクラブ賞  受賞
優秀作品展に出品 (NHKフォーラムギャラリー)
2002年
Heart Art in MEXICO 〜日墨芸術交流祭〜  会場:メキシコ国立図書館 in メキシコシティ
(Heart Art Communication 主催) に出品  メキシコ芸術審議会賞 (メキシコ国文化庁) 受賞
メキシコ美術協会賞 (プラスティカ・メヒカーナ) 受賞
2005年
個展 〜扉の向こうでシリーズ〜 会場:日本画廊(東京)
2006年
東三河の作家展 "21世紀を見つめて" 桜ヶ丘ミュージアム(豊川)
郷土作家展 (その3) 名豊ギャラリー(豊橋)
2007年
東三河の美術 郷土ゆかりの作家たち 豊橋市美術博物館1階
ART FROM JAPAN IN Québec  会場:モントリオール国際会議場
日本ケベック文化交流親善貢献栄誉賞 受賞
主催・運営 株式会社 世界文藝社 A.F.J.実行委員会
2012年
「公募団体ベストセレクション 美術2012」展に出品
2019年
個展「郷土作家 竹本鉄夫展」を豊川市桜ヶ丘ミュージアムで開催(3点寄贈)
現在
自由美術協会会員